そういや私貴方のこと嫌いだった、と。
唐突にそんな事を言いはじめた君の横顔に目を向ける。
「ほら、私ってあんまり頭良くないじゃない? 自分でも直情型だと思うし」
「それはそうだな」
尤もだと思って頷くと、彼女は「フォローなし?」と言ってくすくすと笑った。
「ま、とにかくそんな私にとって、理屈っぽい貴方は苦手だったんだよね。つっこみも容赦なかったし」
「――そういえば、私も最初は君が苦手だったな」
「へえ」
初耳だ、と彼女は僅かに目を見開いた。
そして話の続きを催促してくる。
「例えばどんなところが?」
「君の言う通り、君は直情型であるはずなのに、中途半端なところで頭がいいところだとか」
「……なにそれ」
「自覚がないならそれでいい」
「でもそこ、苦手なんでしょ? だったら直したいんだけど……完全に馬鹿になれってこと?」
「違う。それに、これは昔の話だ。今はもう慣れた」
嘘はついていない。
始めこそ苦手意識を持っていた彼女のそういうところや、他多数の欠点は、
彼女を構成する重要な要素だというふうに受け入れられるようになっていた。
それに、むしろ
「そういうものも君の美点だとすら思えるようになってきたよ」
不満げに口を閉じて私をじっと見つめる彼女。
だが不意に目を逸らすと、じっと何かを考え込む仕草をする。
またこちらを向いた目には納得の光が宿っていた。
「ちょっとわかるかも。貴方の頭が固いところも、昔は嫌いだったけど今では大好きだよ」
「……ありがとう」
照れ臭くなって、こんどは私から、彼女とあわせた視線を外す。
「なんであの頃の自分はクラピカが嫌いだったんだろうなあ」
全くだ。
何故、昔の自分はこのひとが苦手だったのだろう。
そんな疑問は言葉には出さず、私は無防備だった彼女の手をとり、指を絡ませた。
彼女は驚いた顔をして私を見た後、頬を薄い赤に染めて斜め下を見やる。
対する私は薄く微笑み、目を閉じた。
あの頃の私達は、未来の自分達のこんな関係を想像できただろうか。
答えは恐らく、否である。
そういや私貴方のこと嫌いだった、と。 唐突にそんな事を言いはじめた君の横顔に目を向ける。
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